どこでもGAME&WATCH ~ゲームウオッチ全機種紹介~

日本で発売された任天堂「ゲームウオッチ」をご紹介いたします

【第1作】 AC-01 ボール

発売日 昭和55(1980)年4月28日
シルバーシリーズ
本体色 ダークレッド
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 11,000円
(中程度、本体のみ)

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GAME&WATCH 登場!

 昭和55(1980)年4月、革新的な液晶携帯ゲーム機が登場しました。GAME&WATCHと書いてゲームウオッチ(「ウォッチ」ではありません念のため)と呼ぶそのゲーム機は、それまで喫茶店インベーダーゲームに夢中になっていたサラリーマンや学生だけでなく、小中学生にまで大ブームとなり、ファミコン登場まで一つの時代を築きました。
 ゲームウオッチは当時、任天堂の社員であった横井軍平氏(故人)が、新幹線の中で暇つぶしに電卓をたたいて遊んでいたサラリーマンからヒントを得て開発されたと言われています。そのため、当初のサイズはシャツのポケットに入る定期券サイズ。銀色に輝くボディにシンプルなデザインは非常に美しく、大人が持っていても恥ずかしくないものに仕上がっています。当初はまだ子供たちばかりをターゲットにはしていなかったのです。


☆ 処女作はまさかのお手玉

 記念すべき第1作はボール、いわゆるお手玉です。真ん中に配置されているのは、すごく手の長い主人公。肘から先を左右に動かし、飛んでいる2個または3個のボールを落とさないように受け止めるというものです。
 至ってシンプルなゲームですが、これが処女作とは思えないすばらしい出来に仕上がっています。
 手を動かしてボールを受け止めるという発想もさることながら、動かした手と反対の足もさりげなく上げているところなんか、地味ながら感心させられます。


☆ たった一球落としただけで…

 GAME Aでは、2球が飛んでいる状態で、1球受け止めるごとに1点。GAME Bでは少し難しくなり、3球が飛ぶ。その代わり1球受け止めると10点も入ります。まさかのGAME Aの10倍です。
 最高得点はGAME Aでは9999点、GAME Bでは9990点。さすがにAでMAXを狙うには途方もない時間がかかってしまいます。Bで狙いたいところですが…
 そう簡単に最高得点は獲らせてくれない。実はこのゲーム、1球落としただけで簡単にゲームオーバーになってしまうのです。
 3回ミスしてゲームオーバーになるようになったのは、次作フラッグマンから。何度CRUSH!の文字を恨めしく思ったことか。それでも熱中してしまう面白さは、1回でゲームオーバーになるボールならではの緊張感が生み出すものだと思います。


☆ 本当の勝負は2800点から

 最初、ゆっくり投げられるボールが徐々に早くなり、Aでは280点から、Bでは2800点から、早すぎて二重に見えるようになります。高い緊張感を保ったまま、残り7000点を獲るのは尋常ではありません。球の落下パターンを把握して、スピードに対応しながらノーミスで操作するのが最高得点への唯一の道でしょう。


ゲームウオッチ第1作の評価は…

 このように、大変な緊張感を生み出す処女作のボールですが、ゲームウオッチファンの評価はなかなか厳しいようです。
 たった1ミスでのゲームオーバー、単純すぎるゲーム内容、熱くはなるが疲れる…等々。事実、当時にしては大変高価な5,800円という価格もあり、当初はあまり売れなかったようです。
 確かに、ゲームバランスという点での評価は少々厳しいかもしれませんが、私は第1作にしてこの興奮は、後の任天堂製品すべてにつながる満足感だと評価しています。
 ゲームウオッチ発売から30年を経た平成22(2010)年には、クラブニンテンドーのプラチナ会員向けにこのボールの復刻版がプレゼントされました。デザインはそのままに、消音機能を付けて現代向けにアレンジされたものになっています。
 発売数が少なかったこともあり、本作は比較的手に入りづらい一品だったのですが、復刻版は数が多く、割と手に入りやすくなっています。もし復刻版を入手されましたら、ぜひ付属のスタンドに置いて、見て美しく、触って楽しいゲームウオッチの醍醐味を感じていただければと思います。
 実物がどうしても手に入らない方も、ニンテンドーDSiウェアで配信されています(※注)。現在のゲーム機で30年以上前に味わった興奮をそのまま楽しめますよ。

 

※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。