どこでもGAME&WATCH ~ゲームウオッチ全機種紹介~

日本で発売された任天堂「ゲームウオッチ」をご紹介いたします

【第23作】 JR-55 ドンキーコング2

発売日 昭和58(1983)年3月7日
マルチスクリーンシリーズ
本体色 ブラウン
発売価格 6,000円
2012年現在の中古品参考価格 5,000円
(中程度、本体のみ)

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☆ 久しぶりの新作は2作連続発売
 
 ドンキーコングの爆発的な売上げから年が明けた昭和58(1983)年、もはや前年までのような売れ行きに陰りが見えてきたゲームウオッチは、これまでのように毎月次々と発売されるような新作開発スピードではなくなっていました。
 ところが3月、任天堂はわずか1週間の間隔で新作を2作発売したのです。
 1つは次回登場する、マリオブラザーズドンキーコングでは救助マン(たぶんマリオ)として、そしてドンジュニで初めて正式に『マリオ』の名前を付けられ悪役として登場した彼が、スピンオフ作品として兄弟で単独タイトルを初めて獲得した作品です。以降、現在においてまでドンキーコングを凌ぐ人気者となったのはご存知の通りです。
 もう1作、マリオの前に発売されたのが、今回ご紹介するドンキーコングの続編です。
 
 
☆ シリーズ3作目だけどパート2
 
 「続編はドンジュニじゃないの?」という意見も多数ある中、あえてほぼドンジュニ同様の2がマルチスクリーンで発売されました。
 前々作のドンキーコングが画面2枚のマルチスクリーンだったのに対し、前作ドンジュニは廉価版の画面1枚のニューワイドでした。このドンジュニを充実させて、マルチスクリーンで改めて続編を、というコンセプトだったようです。
 なので、タイトルはあえて2。製品につけられるモデルナンバーの英字もドンジュニと同じJR。任天堂は、人気のドンキーコングの続編+翌週発売のマリオで再びゲームウオッチのヒットを狙っていたものと思われます。
 
 
☆ ストーリーはドンジュニ同様だが
 
 ゲームの舞台はパート2だけにドンジュニとほぼ同じで、主人公はジュニアです。マリオに捕らえられたお父ちゃんコングを助けるべく、お父ちゃんが繋がれている鎖のカギを4か所開けて助けるゲームです。
 なるほど、前作ドンジュニでお父ちゃんが逃げなかったのはまだ捕まってたからなんや!と無理に納得させてこのゲームをプレイしてください。
 なお、このゲームではそんな屁理屈を言えないように、鎖を4か所外せばちゃんとお父ちゃんコングを助け出すシーンが映し出されます。
 
 
☆ まあまあ面白いけどめんどくさい…
 
 今回は、カギがスタート地点すぐに置かれています。スタートしてすぐにジュニアはカギを上の画面に放り投げます。これを忘れると、また下画面まで戻らないといけません。
 上画面に移ると、さっき投げたカギがまたすぐ置いてあるので、もう一度カギを投げます。すると、お父ちゃんコングが繋がれている4本の鎖の下のどこかにカギが飛んでいきますので、カギのある鎖を下からテケテケ登ってカギを開けると1本クリアです。この鎖、前作ドンジュニのツタのように横に移ったり飛び降りたりできません。上下しか動けないのに、敵の鳥が飛びまくりますので、かなり厳しい状況になります。
 このゲーム、最大の難点が「カギを開けたらスタート地点まで自力で戻らないといけない」という点です。これまでのドンキー作品では、自動的にスタート地点に戻れていました。しかし、今作はもう一度鳥やスナップジョーや新たな敵のスパーク(電気)に気を付けながら戻らないといけないんです。さすがにゲームバランスを考えてか、GAME Aでは帰り道に限り敵が出にくくなります。
 しかも、やっとの思いで戻ったら、またカギを放り投げてすぐスタートしなければいけないという…しんどい。
 
 
☆ 得点はやっぱり複雑で難しい
 
 得点制は今回もかなり複雑です。
① スナップジョーまたはスパークを跳び越えると1点
② パパドンキーの鎖を外すとスタートからの時間に応じて5-15点
③ 鎖を外したあとミス無しにスタート地点に戻って次のカギを放り投げると5点
④ 鎖を4か所とも外してパパドンキーを助けるとボーナス20点
今回は敵を倒せるフルーツが無くなりましたので、敵を倒すことができず、敵からの点数加算が無くなりました。
 ミスパターンは3つです。
① スナップジョーにかまれる
② スパークに当たる
③ 鳥につつかれる
最高得点は999点、ミスクリアは300点ですが、今回はドンキー1と同様、1人(ドンジュニやから1匹か…)追加されるだけです。300点でミスが無ければチャンスタイムとなり、次にミスをするまですべての得点が2倍になります。
 このゲームは難易度が高いので、チャンスタイムを活用しないと最高得点は難しいでしょう。
 
 
☆ やっぱり復刻されず
 
 この作品、やはり難度やゲームの売れ行きからか、未だDS等で復刻されていません。海外からの逆輸入版も含め、割に中古品が出回っているので、実物を入手してプレイしたい一品です。
 なお、ドンジュニはこの他に、後に発売されるカラースクリーンテーブルトップ・パノラマスクリーンにゲーム内容を一部修正し、カラー液晶となって移植されました。これらについては、パノラマスクリーンの当該ゲームの項で改めて解説したいと思います。