どこでもGAME&WATCH ~ゲームウオッチ全機種紹介~

日本で発売された任天堂「ゲームウオッチ」をご紹介いたします

【第20作】 DJ-101 ドンキーコングJR.

発売日 昭和57(1982)年10月26日
ニューワイドシリーズ
本体色 ホワイト+グリーン
発売価格 4,800円
中古品参考価格 3,500円
(中程度、本体のみ)

f:id:sugidown:20200215235332j:plain



大人気シリーズ続編が廉価版で登場

 
 売れに売れたマルチスクリーンシリーズのドンキーコング、あまりの売れ行きに生産も開発も追いつかない程だったようで、ドンキーコング以降ゲームウオッチの新作が約5か月程ストップしてしまいます。
 この間にも、ドンキー祭りは続くこと続くこと。京都の子ども達が楽しみにしている夏の風物詩、地蔵盆にも、ドンキーコングを持ち寄る子どもがたくさんいました。地蔵盆のくじ引きの一等にも、文句無しにドンキーコングが飾られていました。
 そんなドンキーコングに待望の続編が登場です。その名も、ドンキーコングJR.(ジェイアール、ではありません 大文字です)。サイズはマルチスクリーンではなく、ワイドスクリーンと同じ大きさの1画面となりました。2画面じゃなくなった代わりなのか、価格が抑えられて4,800円となりました。電池サイズもマルチスクリーンシリーズと同じ、LR44(またはSR44)となり、電池サイズ分ワイドスクリーンよりもほんの少し厚みが加わりました。
 この廉価版シリーズを、これまでのワイドスクリーンシリーズと分けて「ニューワイド」と呼んでいます。正式なシリーズ名ではない点が、シルバーシリーズ同様です。


グリーンシルバーがオシャレ

 さて、そのニューワイドですが、これまでのワイドスクリーンから更に進んだデザインとなりました。
 本体色は表面プラスチックがホワイト、裏面がグリーンと2色に色分けされています。さらに、表面はメタリックグリーンに輝き、画面枠にタイトルとNINTENDOの社名をシルバーベースに配した化粧板で覆われました。この本体がなかなかかっこいいんです。
 残念ながら、十字キーは採用されず、小さな4つボタン式擬似十字キーとなりました。右側のジャンプキーと合わせて五つ目操作ボタンです。


ゲーム内容は簡易版ドンキーコング
 
 マリオ(救助マンじゃなくなりました)に捕らわれたコングを、その子どもであるジュニアが助けるゲームです。
 ジュニアは、マリオが出してくるスナップジョー(脚を挟むワナみたいなやつ)や鳥をかわしながら、左上手にぶら下がっているカギを取りに向かいます。途中、スナップジョーと鳥をフルーツに当てるとボーナス点が入ります。左上手のカギにうまくタイミングを合わせて斜め上にジャンプすると、カギを取れます。そのカギで檻が1/4だけ開きます。これを4回繰り返すとコングを救出です。救出するとコングが笑顔になるのですが、前作同様、逃げ出さないパターンなので、またマリオに捕まってしまうのです。
 …これ、前作そっくりなんですよね。設定が変わっただけで、4回繰り返すところや最後のジャンプして飛びつくところまでそっくりです。
 評価できる点も多くあります。前作同様の快適な操作性、ツルに捕まりながら横移動できる点など。
 余談ですが、ほんと、ツルに捕まって横移動できないとストレス感じますよ。マルチスクリーンシリーズのドンキーコング2、これかなりのストレスなんですよね…


点数が複雑なところまでそっくり

 ドンキーコング同様、点数は複雑です。
① スナップジョーをジャンプで飛び越えるごとに1点
② 上段のスナップジョーにフルーツを当てると3点
③ 下段のスナップジョーにフルーツを当てると9点
④ 鳥にフルーツを当てると5点
⑤ カギに飛びつき檻を開けるごとにかかった時間に応じて5-20点
⑥ すべての檻を開ければボーナス20点
…前作と基本的には同じなんですが、かなり複雑です。もはや正しく点数が入っているのか全く不明です。
 前作同様、ミス設定も多くて、スナップジョーに当たるのはもちろん、鳥にもなす術無くやられてしまいます。カギに飛びつけなかった場合も、哀れ下に落ちてミスとなります。
 今作は、300点でのミスクリアがオールクリアに戻りました。前作は一人増えるだけだったんですよね。300点までミスがなければ次にミスをするまで得点が2倍になるチャンスタイムも引き続き設定されています。最高得点も前作同様999点です。


売れたけれど飽きられた…

 久しぶりの新作でもあり、続編ということで、売れることは売れたようです。ただ、これだけそっくりだとユーザーには飽きられてしまう結果となりました。
 任天堂も売れるだろうと出荷をかなり増やしたらしく、今でもいい状態の中古品を見かけることが多いです。
 任天堂としては、ドンキーコングまでで十分利益を出したでしょうし、いよいよファミリーコンピュータの開発に移行する段階だったのでしょう。力が入らなかった訳ではなかったのでしょうけれど、ゲームウオッチの限界がこのドンジュニで見えたような気がします。実際、本作以降ゲームウオッチは急速に下火となってしまいました。
 なお、本作はDSiウェアで配信されています。DSでも十分楽しめますが、前述のように状態のいい中古品がたくさん流通していますので、ぜひ実物で楽しまれてはいかがでしょうか。

※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。