【第11作】 PP-23 ポパイ
発売日 昭和56(1981)年8月5日
ワイドスクリーンシリーズ
本体色 モスグリーン
発売価格 6,000円
2012年現在の中古品参考価格 3,500円
(中程度、本体のみ)
☆ ゲームウォッチ初のライセンス作品
任天堂が初めてのキャラクターライセンス作品として発売したゲームウオッチは、当時大人から子どもまで幅広く人気のあったポパイでした。
大人向けだったゲームウオッチが、それだけ子ども達に広がったということでしょう。この後、ライセンス作品はミッキーマウス、スヌーピーと広がっていきます。
☆ オリーブ、食料投げすぎ!
主人公はポパイです。ゲームストーリーは、ポパイとオリーブが小舟でデートに行こうとしています。ポパイが乗る小舟にオリーブが食料を放り投げて受け止めるというものです。もちろん、オリーブのことが好きなブルータスは面白くありません。2人の邪魔をしようと、食料を受け止めるポパイをタイミング良く殴りつけようとします。ブルータスの攻撃をうまく左右にかわしながら食料を受けとるというゲームなんですが…
オリーブ、小舟に向かって食料投げすぎです。ポパイも調子良く受け止めていますが、過積載で沈没すること間違いなしです。
なお、このゲームはオリーブが食料投入係兼アラームキャラを務めています。アラーム時間にゲームをしていると、片手で食料投げながら反対の手でアラームベル鳴らしてくれます。ほんと忙しい方です。
☆ ゲームウオッチ初の半ミス制
このゲームもこれまで同様、最高得点999点、200点・500点の時点でミスクリアです。左右中央の3か所に分けて投げられる食料を1つ受け止めるごとに1点獲得です。
このゲームで特徴的なことは、初めて半ミス制が導入されたことです。
ミスには2つのパターンがあります。
① ブルータスに殴られる
② 食料を落とす
の2つなんですが、②の場合だけは2回ミスしなければ1ミスになりません。つまり、①で2回殴られたあとで②で1度ミスしてもゲームオーバーにならないという訳です。
これは、本作がゲームウオッチ初のキャラクターライセンス作品であり、明確に未成年者をターゲットとしたことにより、ゲームバランスを考慮したためと考えられます。
同様に、次々作であるキャラクターライセンス作品、ミッキーマウスでも同様の半ミス制が導入されています。
この半ミス制のおかげで、高得点が狙いやすいゲームとなり、初心者でもプレイして楽しめるゲームに仕上がっていると思います。
☆ ポパイの世界観を取り込めた会心作
ポパイは、キャラクターの表情も素晴らしいだけでなく、高得点を狙えることでプレイして楽しい作品に仕上がっています。オリーブは調子乗って投げすぎですが、表情はかわいいし、ブルータスも空振りしすぎですが動きは秀逸です。
ミスマークはほうれん草の空き缶になっています。随所にポパイの世界観をうまく取り込んだ会心作だと思います。
☆ ライセンス作品だけに…
この作品は、ライセンス作品だけに、他のゲーム機に復刻されていません。まさに、実物でしか楽しめない作品となっています。
嬉しいことに、中古市場でも手に入れやすい価格相場です。ポパイファンもゲームウオッチファンも、ぜひほうれん草色の実物を手に入れてプレイしていただきたい作品です。
【第10作】 OC-22 オクトパス
発売日 昭和56(1981)年7月16日
ワイドスクリーンシリーズ
本体色 ダークレッド
発売価格 6,000円
2012年現在の中古品参考価格 4,000円
(中程度、本体のみ)
☆ ついに登場!ザ・ゲームウォッチ
京都では祇園祭のクライマックスの1つ、宵山で四条界隈が大にぎわいだったであろう昭和56(1981)年7月16日、同じ京都は東山区にあった任天堂(現在は移転)から、ある歴史的なゲームが発売されました。
ゲームの名は「オクトパス」。電子携帯ゲームを代表する1つとなったこのゲームは、ゲームウオッチらしい繊細で美しいゲームデザインやそのストーリー、ゲームバランスなど、今なお名作と各所で評価されるゲームです。
褒めちぎるのはこれくらいにしておきますが、そのくらい人気もありましたし、ゲームウオッチといえばこのゲームを思い浮かべる人も多いと思います。
☆ ゲームストーリーはやっぱり危険
さて、ファイア、マンホール以降続いた危険シリーズでしたが、この作品もしっかり受け継がれています。
舞台は海底。沈没船に眠るお宝を潜水服姿の3人が船上から狙っていますが、海底では大ダコが宝をしっかり守っていました。タコの足を避けて宝を海底から引き上げるというのがミッションです。
このタコがまたおもろい顔してるんですよ。まぁ、潜水士がタコの足先に触れてしまうとたちまち巻き付けられてしまうんで、やっぱり恐怖なんですけどね。
☆ ミスマークがないのは久しぶりだが
実はこのゲームのいちばん怖いのが、ミスマークがないこと。何と船上にいる人数が残り人数なんです…巻き付けられた人の運命は、その後どうなったんでしょうか。
最高得点はこのゲームも999点です。ミスクリアは200点・500点ですが、いきなり潜水士が船上に復活するから見ものです。
得点方法は2通りあります。
① 宝を海底で集める(海底の最深部の宝がある場所でRIGHTボタンを1度押す)ごとに1点
② 宝を1回以上集めた状態で船上に戻ると3点
です。もちろん、船上に戻らなくても、タコの足先にさえ触れなければ①で何度でも得点できます。ただし、宝を持っていないと船上には上がれません(潜水士が袋を持っていれば宝を持っている状態です)。
☆ やっぱり素晴らしい表現力
ミスマークがないのも面白いですが、秀逸なのが、宝を船上に引き上げた時の潜水士の表現でしょう。他の潜水士に宝を見せびらかしています。ちなみに、他の潜水士がいなくても1人で自己満足に耽る姿が見受けられます。
アラームキャラクターも今回は子ダコです。かわいい顔してます。
あの画面をフルに使った素晴らしい表現力に脱帽ですね。
☆ 名作中の名作だが…
これだけ褒めちぎったくせに、私はこのゲームが苦手です。欲張って何度も宝を取るからなのはわかってるんですが…
タコの足先が出てくるタイミングが全部違うのも苦手です。あかん、逃げるとこあらへん!ぎゃー巻き付けられたー!という展開ですね。わかってるんです。わかってるんですけどね…
☆ 名作ゆえに移植も多し
さて、前作のパラシュートの項でも述べましたが、この作品も非売品のDSソフト「GAME&WATCH コレクション2」でプレイできます。
人気機種ゆえ、中古品も多数あるので、ぜひ実物でもプレイしてみてください。ただ、オリジナルは美品が少ないんだよなぁ…
【第9作】 PR-21 パラシュート
発売日 昭和56(1981)年6月19日
ワイドスクリーンシリーズ
本体色 ダークブラウン
発売価格 6,000円
2012年現在の中古品参考価格 4,000円
(中程度、本体のみ)
☆ 人気シリーズ、ワイド登場!
ゲームウオッチも発売1周年を迎え、危険シリーズのゴールドで若干のマンネリ感は否めない状況だった昭和56(1981)年6月、新しいシリーズとしてワイドスクリーンが登場しました。
画面はこれまでの1.7倍、本体の大きさも定期券サイズから横に大きく伸びました。
価格はこれまでの5,800円から200円アップの6,000円に。以降、6,000円がゲームウオッチの標準的な価格になります。
ボタンのレイアウトも変わり、それまで画面の下にあったACL・ALARM・GAMEなどのモードボタンが右上に移り、タイトルは右上から画面の上枠に移りました。
細かい変更点は、裏のスタンドでしょうか。大きさと形が若干変更されています。
当時のキャッチコピーには「画面は1.7倍、サイズは今まで通り胸ポケットサイズ」とのことでしたが…
確かに、縦にはそんなに伸びなかったので、シャツのポケットには入ることは入るのですが、いかんせん幅が広がった。これでは胸ポケットからはみ出してしまいます。
これは、サラリーマンを主なターゲットとしていたゲームウオッチの販売戦略の変更があったものと考えられます。思った以上に未成年の購買層が厚かったのでしょう。子どもにも持ちやすく、落としにくい大きさにされた上で、液晶を大型化して見やすくしたものと考えられます。前作までのサイズが子どもには少し小さかったのか、私の周りでも落として壊した人は多かったようです。このシリーズ以降、一部を除きサイズがどんどん大型化していきます。
☆ ワイド第1弾もやはり危険だった
さて、ワイドスクリーン第1弾となるパラシュートですが、これがまた前作から引き続いて危険な現場となりました。
右上のヘリから、なぜか人がゴミのように落ちてきます。恐らく、ラピュタ王の怒りを買ったのか何かなのでしょう。
そして今回の主人公、正義感が強いのかどうかわかりませんが、ただの手漕ぎボートで全員助けようという無謀なことをやらかします。しかも海には案の定、人喰いザメがウロウロして、落ちたら喰われちゃいます。でも、助けたところですぐにボート上で消えちゃうので、実は助けた人をすぐ海に落としとるんやないかと疑っています。
☆ GAME Bでは枝に引っかかる
最高得点は999点です。今回もゴールドシリーズと同様、ミスクリアのチャンスが200点・500点の2回あります。
GAME Bでは、一番右に落ちるパラシュートがたまにヤシの枝に引っかかり、タイミングが取りにくくなっています。ヤシの枝に引っかかると、どのタイミングで外れるかわかりません。しかも、外れたら1回で落ちてくるので、自然と一番右がボートの定位置になります。
海に落ちたらミスになり、落ちた人がサメから逃げるシーンを見ることになります。最後はやめてーと言わんばかりに叫びながらサメに喰われる直前で、映像は止まります。ミスマークはまさかのサメです。たぶん喰われたんやろうなぁ…
☆ 個人的には傑作と評価
なんかこれだけ書けば、どんな悲惨なゲームなんだろうと思われるかもしれませんが、私は最高傑作の1つで名作と評価しています。
音もビービーうるさいのがいかにもゲームウオッチらしいし、画面が大きくなった分、前述のミスマークといい、ヤシに登るアラームキャラのサルといい、ワイドでもちゃんと任天堂のゲームウオッチらしさを発揮しています。
市場でも評価されたのか、次作のオクトパスほどではないものの、ゲームウォッチの中では売れたタイトルの1つに数えられています。このパラシュートからオクトパスを挟み、シェフあたりまでがゲームウオッチ第2期黄金期と言えそうです。
私はパラシュートが好きすぎて、今でも屋外でプレイできるように、分解して裏のスピーカーのはんだを丁寧に外し、消音機能を施した実物を持ち歩いています。ただ、消音バージョンにすると難易度が上がるんです…
☆ クラブニンテンドーの景品に
そんな名作のパラシュートですが、残念ながらこの作品もDSiウェアで配信されていません。しかし、任天堂のポイント制度であるクラブニンテンドーの景品として、DSソフト「GAME&WATCH コレクション2」があり、この中にパラシュートが収録されています。このソフトの中には、パラシュートだけでなく、次作のオクトパスと、その2作を2画面でつなげた「パラシュート+オクトパス」も遊べます。無理に消音バージョンを作らなくても、今はDSで遊べますよ。
【第8作】 LN-08 ライオン
発売日 昭和56(1981)年4月27日
ゴールドシリーズ
本体色 ダークレッド
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 5,000円
(中程度、本体のみ)
☆ ゴールド最終作もやはり恐怖だった
ゲームウオッチが世に登場してちょうど1年。ボールから数えて8作目にあたるのが、このライオンです。ゴールドは3作のみであり、次作以降は画面も大きく、本体も大きくなったため、定期券サイズで発売された最後の作品になります。
今回もタイトルが示すように恐ろしいことになりそうなことは明らかです。主人公は前作で工具の雨に晒され瀕死状態になり、さすがに転職を決意したようです。双子で動物園に就職して、かわいい動物たちに囲まれて楽しく仕事しよう…という夢は今回もたやすく打ち砕かれました。配属されたのは何とライオン担当でした。
この動物園の問題は、檻があるのに穴が空いていることです。しかも片側3か所、計6か所もです。これではライオンに容易に襲われます。そこで2人に渡された防具が…まさかの椅子。「椅子で檻に押し返してください」説明書には本気でそう書いてあります。
☆ 最高得点はゲームウオッチ最難関
GAME Aではライオンは2匹、GAME Bでは3匹です。こいつらが気まぐれにピリッピーピリッピー言いながら上下3段の檻を動きまくります。そして一歩前に出て檻を出ようとするも、やっぱりやめたり出てみたり。とにかく気まぐれ野郎たちに翻弄されるのです。
出てきた檻に椅子を合わせてないと、ライオンが檻から出て双子たちを襲います。双子は木によじ登って難を逃れるのです。
一度戻すと2点が入りますので、最高得点は998点。最高得点に達すると999点と表示されるそうですが…残念ながらこのゲームは難しく、私の実力では最高得点に到達したことはありません。
とにかく、気まぐれライオン野郎たちに振り回されて、高得点は非常に厳しい状況です。個人的には、シルバー&ゴールド8作の中で一番難しいと思います。
☆ ゴールドらしいと言えばらしい
ゴールド3部作はすべて主人公が厳しい状況に晒される作品です。中でも、このライオンが最も理不尽かつ危険な目に晒されています。
マンホールのように歩行者が規則正しい動きをしてくれたらある程度予測できるのですが、ライオンの動きがあまりにも気まぐれで予測不可能なので、椅子を持った主人公がついて行けないのです。
予測不可能という点が面白くもあり、難易度が大幅に上がることになったのです。
よって、この作品への評価は様々です。私の周りではライオンは苦手という声が多いのですが、個人的にはゴールドらしい危険なゲームだなと思い、アラームキャラクターのくまさんと合わせて、好きな作品の1つになっています。もちろん、未だ最高得点に達していないという未知数の評価も加味しています。
☆ この作品はDSでできない
シルバー&ゴールド8作の中では、ファイア・マンホールと合わせてDSiウェアで配信されていない作品です。ファイアはビル火災→死亡という現代社会にはそぐわない表現のために復刻されていないと推測されます。マンホールは海外で発売されたニューワイド版でリメイクされ、DSiウェアで復刻配信されています(※注)。
では、なぜライオンが復刻されなかったのでしょうか。はっきりとはわかりませんが、その評価が二分したためか、前々作のマンホールから次々作のオクトパスという、名作と呼ばれた作品のはざまで目立たず、売れ行きが今ひとつだったことも理由の1つかもしれません。
ちなみに、売れ行きが今ひとつな作品は中古市場で高額になる場合が多いのですが、このライオンだけは割に手頃な価格で美品をよく見る気がします。おもちゃ売り場でライオンが余っていたから何となく買ったけど、あまり面白くなかったから遊ばずに綺麗な状態で残っていたのかもしれませんね。この逆で、オクトパスやドンキーコングなどのヒットした作品だと、しっかり使い込まれてボロボロになった状態のものが多く、美品はなかなか見かけなかったりするのです。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第7作】 CN-07・CN-17 ヘルメット
発売日 昭和56(1981)年2月21日
ゴールドシリーズ
本体色 ワインレッド
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 6,000円
(中程度、本体のみ)
☆ ゴールド第2弾は超危険な工事現場
ファイア、マンホールに続き、今回も危険シリーズの登場です。主人公は前作の下水工事担当から異動になったらしく、今回はビル工事現場→現場事務所をひたすら片道通行するという、よくわからない業務を担当しています。しかも、この現場が恐ろしいことに、カナヅチやバケツ、ドライバーなど危険物が次々に落ちてくるという、安全衛生上かなり問題のある現場です。
不思議なことはこの他にもあって、なぜヘルメットを被っているのに被害に遭うのか、向かう現場事務所の扉がなぜ自分では開けられないのにひとりでに開いたり閉まったりするのかなど、今回も突っ込みどころ満載です。
☆ 事務所の扉が怖すぎるゲーム
今回も最高得点は999点です。前作に引き続き、200点と500点でミスがある場合にミスクリアになります。
このゲームは得点がわかりにくいのですが、案外スイスイ点数が入ります。得点パターンは2つあり、
① 工事事務所の扉が開いた時に1人滑り込むごとに5点
② 落ちてくる工具を3つ下に落とすごとに1点
です。つまり、事務所に入らなくても工具を避けてウロウロしていれば理論的には最高得点まで達するのです。
しかし、この工具避けが厄介で、連続ですべての列からバンバン工具が落ちてきた時に、素早く左右のボタンを早押ししながらスパスパ避けるのが非常に難しいのです。特に、GAME Bでは事務所に入るごとに落下スピードがガンガン上がってくるので、事務所には行けないわ、上からジャンジャン工具が落ちてくるわ…もうなす術がない状況に陥ります。
ただ、GAME Bの方が有利なことがあります。例の事務所の扉の開閉スピードがBの方が早いのです。つまり、閉まってから次に開くまでが早いので、工具のジャジャ降り状態から早く抜け出せるということです。GAME Aでは開いている時間も長い代わりに閉まっている時間も長いので、長い時間工具に晒されなければならないのです。いずれにせよ、あの扉が曲者であることは間違いありません。
☆ ヘルメットが有名な理由、それは…
さて、このヘルメット、実はある理由から大変有名なゲームになってしまいました。ご存知の方も多いかもしれませんね。そう、あの有名な裏技、双子ヘルメットです。
あるコマンドをすると、ゲームスタート時から主人公が2人になります。ジャッジ以来となる双子の登場です。しかも、前にいる奴だけ工具が当たっても倒れず無敵なんです!(ヘルメット被ってるからそれが普通ですが…)
事務所に入ると得点も2人分、倍になるので、点数を稼ぐチャンスです。ただし、ミスをすると1人に戻ります。
この裏技の方法はあとで紹介しますが、この裏技のおかげでヘルメットは一躍有名ゲームになってしまいました。あまりに広まったためか、任天堂はこのバグを修正することにしました。この裏技が出来なくなったバージョンが、ICチップのモデルナンバーCN-17です(モデルナンバーの調べ方については、ジャッジの項をご参照ください)。
今回は、バージョン違いも同じ本体色になったため、裏技ができるCN-07かできないCN-17かは、実際に裏技をしてみるか、分解してICチップを見ないとわかりません。いずれにしても、年代物のゲームウォッチなので壊さないように自己責任で行ってください。
☆ あの有名マンガにも登場!?
このヘルメット、実はあのドラえもんにパロディとして登場するのです。
のび太がようやく買ってもらった電子ゲームがヘルメットだったようです。
話中ではヘルメットではなく、忍者が降り注ぐ手裏剣や槍をかわすというゲームになっています。
なお、のび太は空地に持っていって見せびらかしたため、みんなに散々使われた挙句、最後は案の定、ジャイアンに持って行かれてしまうのでした。
☆ 気になる裏技のコマンドは…
一応、裏技のコマンドを記載しておきます。参考程度にご覧ください。
① 時計表示のデモ画面中、TIMEボタンを押すと主人公が止まります。この機能を使って、落ちてくる工具の下で主人公を止めて、主人公を倒れさせます。
② 主人公が倒れた状態でTIMEボタンを離すと、一瞬主人公が消えるので、消えている間に今度はGAME A(またはB)ボタンとTIMEボタンを同時に押して、そのまま2つのボタンを押しっぱなしにします。
③ ゲームが始まるので、2つのボタンを押したままRIGHTボタンを押して主人公を1つ右に進めます。すべてのボタンを離すと、主人公が2人になります。
☆ このゲームもDSiウェアに!
このゲームも、ゴールドシリーズでは唯一、DSiウェアで配信されています(※注)。前作マンホールも配信されているのですが、こちらはゴールド版ではなくリメイク版マンホールが配信されています。
実物をお持ちでない方でも同じようにプレイ可能です。ただし、裏技はできませんのであしからず。
ちなみに、アラームキャラクターは、現場事務所の上から主人公に注意を促すアラームおじさんです。そんなとこにいるのなら、工具なんとかしてよ…
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第6作】 MH-06 マンホール
発売日 昭和56(1981)年1月27日
ゴールドシリーズ
本体色 ダークブラウン
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 5,000円
(中程度、本体のみ)
☆ アラームもついて新シリーズ登場
昭和56(1981)年のお正月は、全国の多くの子どもたちがお年玉を握り締め、ゲームウオッチを買うべくデパートにおもちゃ屋に駆け込んだことと思います。これまでに発売された5機種の中ではダントツでファイアが人気だったことでしょう。
そんな任天堂が、満を持して発売した新シリーズ、それがゴールドシリーズでした。高級感のあるボディはそのままに、シルバーの本体はゴールドにその装いを変えて、アラーム機能とスタンドを追加して登場したのです。
時計機能を充実し、午前・午後を分けたことでアラーム機能が追加されました。アラーム表示にもこだわり、アラーム用のキャラクターが登場するなど、ゲームウオッチらしい細かな表現がなされています。更に、枕元に立てて置けるようにスタンドが装備されました。これは、以降のワイドスクリーンシリーズにも踏襲されていきます。
また、正式にシリーズ名を付けられた最初のシリーズになります。これまでに発売された5機種については、本作発売以降、区別のため便宜的にシルバーシリーズと呼ばれました。
☆ カラーフィルム採用で鮮やかに登場
本体のゴールド色以上に目立ったのは、カラーで描かれた背景でしょう。液晶表示は相変わらずの白黒でしたが、背景にカラーフィルムを挟むことで、色鮮やかな液晶面になりました。このカラーフィルムは以降の機種では更に複雑になり、ワイドスクリーン後期以降では2枚フィルムで前後感を出したり、擬似カラー液晶を実現したりしていくのです。
また、地味ながら大きな変更もありました。細いペン先などで突くACLボタンが、ALARMボタン新設に合わせて2つのボタンとも金属板で強化されたのです。
本作以降、金属板が標準になり、何度もペン先で突いてボタンのゴムに穴が空くことはなくなりました。ワイドスクリーン後期以降には更に改良がなされて、金属板に窪みを付け、これまで以上にペン先などで押しやすいタイプになりました。
☆ 何とミスが帳消しに!?
本作以降の作品で採用されたものに、ミスクリア制があります。これは、一定得点に達すると、それまでのミスがある場合、ミスが帳消しになるというものです。これにより、ボールの頃には考えられないぐらいゲームバランスが良くなり、ますます遊びやすくなったと思います。これがないと、最高得点なんか絶対無理というゲームもずいぶんありました。
☆ マンホールと言う名の苦行
さて、気になるゴールドシリーズ第1弾のゲーム内容なんですが、マンホールという名前ながら歩行者が下水管に落ちないようにフォローするというものでした。
主人公は今回、歯を食いしばりながら、ひたすら上下に空いた4か所の穴を塞いで歩行者が落ちないようにします。歩行者には表情がありませんが、主人公の表情は非常に辛そうです。
ボタンは前作から続く四つ目。それぞれ4か所に瞬間移動できる魔法のボタンです。
最高得点は999点です。GAME Bでは歩行者のスピードがどんどん上がり、しかもいっぱい歩くのでまたまたパニックです。
歩行者が落ちるとミスになり、濡れたTシャツがミスマークです。この辺りも素晴らしいアイデアです。先に述べたように、本作からはミスクリア制が採用されています。ゴールドシリーズでは200点、500点に達するとミス帳消しになります。
☆ ゴールドシリーズの名作
マンホールが名作と言われるゆえんは、その表情やカラーフィルム、ミス帳消しなどで若干マンネリ化していたゲームウオッチに新しい風を吹かせたことだと思います。スピード感と興奮度はファイアに続くものがありました。ちなみに、ファイアでご紹介した裏技、電池ガチャガチャですが、このマンホールでもできます。歩行者がハイスピードで動くので大変です。
☆ ファイアに続くリメイクは…
ファイアと共通したことは他にもあり、同じくリメイクされて発売されました。日本では発売されなかったこのニューワイドのリメイク版マンホールですが、何とこのリメイク版がDSiウェアで遊べます(※注)。
歩行者にも表情があったり、アラームキャラであるアラームおばさんが金髪になるなど、今回も大きなリメイクがなされていますが、小さなゴールドシリーズの画面で遊ぶ方が個人的には好きですね。さて皆様はいかがでしょうか。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第5作】 IP-05・IP-15 ジャッジ
発売日 昭和55(1980)年10月4日
シルバーシリーズ
本体色 IP-05 モスグリーン
IP-15 ダークパープル
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 IP-05 13,000円
IP-15 12,000円
(中程度、本体のみ)
☆ キャラ復活!双子が2人で殴り合い
ファイア・マンホールという人気タイトルに挟まれて、シルバーシリーズ最後の機種として発売された本作。人気はイマイチながら、突っ込みどころ満載の本作は疑う余地なく名作です。
そして、あのキャラが復活です。そう、中央にドンと配置された主人公。しかも2人も。バーミンでフサフサ生やした髪もバッサリと切り(ファイアで燃えた?)双子の弟を伴って2人でツルツル頭を殴り合います。
☆「たたく」「にげる」ボタンは日本語
ルールは簡単、片手で2人が同時にプラカードを上げます。数字が高い方が相手をハンマーで叩けます。数字の低い方は相手に叩かれる前に逃げればポイントです。数字が低いのに間違って相手を叩いたり、数字が高いのに間違って逃げれば相手にポイントになります。
このゲームが他のゲームと最も違うのは、GAME A・Bがないことでした。GAME Aにあたるボタンには「1人用」、GAME Bにあたるボタンに「2人用」と書かれており、1人用では双子の右側だけの操作となりました。しかし、あの小さなゲーム機でどうやって2人でやるのかと不思議に思ったものです。もちろん、2人用では左右それぞれの双子を操作できます。
ボタンはフラッグマン以来となる四つ目となりました。ボタンにはご丁寧に「たたく」「にげる」とシリーズ唯一となる日本語での説明が付きました。しかも文字の横には主人公の絵までついています。
☆ 最高得点は99点、しかし…
このゲーム、得点制が複雑です。基本的には正しく叩けば3点、正しく逃げれば2点です。しかし、間違って叩けば相手に2点入るのですが、ここで間違って叩いた相手を更に叩くことができます。すると3点入るので計5点入ることになります。なお、間違って逃げれば相手に2点入ります。
最高得点は99点で、どちらかが99点に達するとゲーム終了となるのですが…
☆ 単純に緑=初期、紫=後期ではない
この複雑な得点制が、ジャッジのバージョン違いを生み出すことになります。
ジャッジは、本体が緑色のバージョンと、本体が紫色のバージョンの2種類があります。先に発売された方が緑色ですが、紫バージョンとの違いがあまり明らかになっていませんでした。
実は、このバージョン違い、得点のミスを修正したものだったのです。
緑バージョンで2人用をプレイした時、左側の双子が間違えて逃げてしまった場合に相手に入るポイントが、本来は2点のはずが1点しか入らないのです。紫バージョンではこのエラーが修正されているはずです(少なくとも私の紫ジャッジでは修正されています)。このようなバージョン違いは次々作となるヘルメットでも発生しています。
☆ MODEL NO はIP-05だが…
今回は色違いということで明らかなバージョン違いですが、実は中のICチップに印刷されたモデルナンバーがそれぞれ違います。
緑バージョンはIP-05ですが、紫バージョンはIP-15と、異なるモデルナンバーが付与されているのです。
ワイドスクリーンシリーズが20番台からモデルナンバーが始まっている理由は、実は10番台を修正チップで使用していたからです。
というわけで、同じくバージョン違いのある次々作のヘルメットも、あるバグを修正したチップに新しいモデルナンバーを付けているのですが…そのバグも含めて、詳しくはヘルメットの項で解説いたします。
なお、ICチップを見るためには、当然分解しないと見ることができない訳です。「分解するなと説明書に書いてある」「分解したら保証してくれない」との声もありそうですが…任天堂のサポートはとっくの30年以上前にすべて終了しています。任天堂に何を言っても直してくれないでしょう。また、分解してボタンを整備しないと動きが鈍くなったりします。ゲームウオッチの分解は、必ず自己責任で!
ちなみに、本作もDSiウェアで配信されています(※注)。実物が高価なだけに、どうしても遊びたい方はこちらでどうぞ。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第4作】 RC-04 ファイア
発売日 昭和55(1980)年7月31日
シルバーシリーズ
本体色 ブルー
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 4,000円
(中程度、本体のみ)
☆ ゲームウオッチ人気の立役者
ファイアは、オクトパス・ドンキーコングと並ぶ不動の人気タイトルで、初期シルバーシリーズの中ではダントツの人気を誇りました。このファイアからマンホールあたりまでがゲームウオッチ第1期黄金期と言えそうです。
実際、このゲームをきっかけに液晶携帯ゲーム人気に火がつき、大人から小中学生まで売れに売れました。任天堂のみならず、他のメーカーからも子ども向けにアレンジした機種やアニメのキャラクターをモチーフにした機種が多数発売されるきっかけとなった機種と言えるでしょう。
事実、当初は大人向けであったゲームウオッチも、ワイドスクリーン以降、子どもも対象となるようアレンジして発売せざるを得ない状況となりました。
当時のCMでもファイアが強くアピールされていたようです。残念ながらフラッグマンは早々に消されたようですが…
☆ ゲーム内容は非常にシュールな状況
今回の舞台は、前作までの3作とはうって変わって、何と炎が燃えさかるビルの火災現場。これまでの主人公が中心に配置された状況から、一筆書きみたいな人がビルからジャンジャン落ちてくるという、過去3作にはなかったとんでもない状況。落ちてくる人を3バウンドで受け止めて救急車に放り込むという、乱暴かつ危険な役割がプレイヤーには与えられています。
救急車に1人乗せれば1点。最高得点はGAME A・Bとも999点です。GAME AよりBの方が落下スピードが速くなって難易度が上がっています。
☆ やはり芸が細かいゲームウオッチ
主人公が中央に配置されなくなり、背景が大幅に変わった本作。特筆すべきは曲がった火災ビルとメラメラと燃えさかる動きのある炎、そして1人救出するごとに点滅する救急車でしょう。
ビルを曲げたことでよりビルらしく見えるし、炎に動きを持たせることでより火災現場である印象が深まったと言えます。
そして、ファイアとは切っても切れない最もシュールなミスマーク、それが天使マークでしょう。飛び降りた人を落としてしまうと、地面に叩きつけられる訳ですが、直後に右上に天使マークが表示されます。恐らく、あの世に行かれたということなのでしょう。
現代では社会的に許されないだろうこういった表現も、当時では問題にされなかったものと思いますが、この後の作品にもこういった現在では表現できないものがしばしば登場することになります。こういった事情のある作品は一部内容を変更されて復刻されるか、もしくは未だ復刻されていません。本作は後者に当たり、名作ながら実物を持たなければ楽しむことはできません。
☆ あまりの人気にリメイクまで
本作発売から1年半後、子ども向けにリメイクされた同名タイトル「ファイア」が、画面と本体サイズが大きくなったワイドスクリーンシリーズで再登場します。
ワイドスクリーンはシルバー・ゴールドシリーズよりも画面が広がって、より細かな表現が可能となったシリーズです。
残念ながら、二匹目のドジョウとなったワイドスクリーン版はあまり売れ行きは芳しくなかったのですが、液晶と偏光板(液晶を表示させるスクリーン)の間にカラーフィルムを入れて色鮮やかな液晶画面としただけでなく、キャラクターにも表情を持たせるなど、ワイドスクリーンならではの美しい液晶になりました。
また、シルバー版ファイアでは救急車に運んで1点だった得点が、1バウンドにつき1点になり、ゲームバランスが良くなりました。得点しやすくなったことで、より子ども達への支持につなげたかったのかもしれませんね。
ワイド版ファイアはただ得点しやすくなって難易度が下がった訳ではなかったのがさすがはゲームウオッチ。実は、GAME Bではある決定的な状況の変化により、ワイド版の難易度が上がることとなりました。これは後にご紹介するワイド版ファイアで解説いたします。
☆ まだまだ書き足りないけれど…
ファイアは名作と言われるだけに、書くこともまだまだたくさんあるのですが、最後に有名な裏技をご紹介して終わりにしたいと思います。
裏技・電池ガチャガチャです。裏の電池のフタを締めずに電源を入れたり抜いたりします。それを繰り返してGAME Bを押すと…
信じられないスピードで大量の人が飛び降りるようになります。しかも、GAME Aをしなければ電池を入れ替えるまでGAME Bではずっとこの状況になります。
壊れる可能性もあるので、あまりオススメはできませんが、もし壊してもいいファイアをお持ちならぜひどうぞ。ちなみに私はやりません…
【第3作】 MT-03 バーミン
発売日 昭和55(1980)年7月10日
シルバーシリーズ
本体色 オフホワイト
(他にブルー、ブラックもあり)
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 10,000円
(中程度、本体のみ)
☆ MTって、モグラ叩きってこと!?
ゲームウオッチ第3弾として登場したバーミン。害獣っていう意味らしいんですが、何のことはない、れっきとしたモグラ叩きそのものです。
英字2文字から始まる本体のモデルナンバーはMT-03です。M(モグラ)T(タタキ)ってこと?ちょっと無理しすぎやないですか?
ボールから2作ぶりとなる手の長い主人公が、今度は髪の毛を生やしてハンマー両手に再登場です(同一人物かどうかは不明)。
☆ これまた熱々のスピード叩きだ!
モグラが出てくる穴は左右中央合わせて5か所(GAME Aは中央を除く4か所)、ハンマーをモグラが出てくる位置に合わせると自動的にモグラを叩いてくれます。1匹叩いて1点で、最高得点はGAME A・Bともに999点です。モグラがどの穴から出てくるのかは、穴の下に盛り上がる模様が出てくるのでわかるようになっています。
他のゲームと同じく、最初はゆっくり出てくるモグラが、後半はすごいスピードで次々と出てきます。大変リズム良く出てくるので、最初は小刻みにモグラを叩いて楽しめるのですが、スピードが上がるにつれてパニック状態になります。あまりのスピードに最高得点までの到達時間は、999点ながらフラッグマンに次いで早い約10分となっています。
☆ 小憎らしいモグラのミスマーク
このゲームで初めて導入されたものに、ミスマークがあります。本作も前作フラッグマンと同じく3ミス制なんですが、フラッグマンはミスすると表示されている03の数字が02→01と減っていくものでした。これがバーミンでは、ハンマーで叩かれずに逃げたモグラが枠外に移動して「やーい!」と言わんばかりに笑顔で手を挙げているマークになり、逃げたモグラが3匹になるとゲームオーバーとなるものになりました。
このミスマークが憎たらしいことこの上ないのですが、見た目のわかりやすさが良かったのか、次作以降でアレンジされながら続くことになりました。
☆ レアものもあるらしいが…
本体色は白となり、これまた美しい本体です。個人的にはシルバーシリーズ5作6色の中では一番のお気に入り色です。
しかし、バーミンには白色以外にも別色バージョンがあることがわかっています。
1つは、青色。ミズノブルーインパルスバージョンと呼ばれるものです。スポーツメーカーのミズノが、スキー用品のキャンペーンで景品にしたものです。画面枠上に、BLUE IMPULSEと書かれているだけではなく、GAME&WATCHのロゴがある位置にMIZUNOと書かれています。なので、ロゴは右側に移動し、VERMINのタイトルの印刷位置も下に移動しているなど、ただの色違いではないのがマニア心をくすぐるのですね。しかし、前述のとおり私は白が好きなので、次作のファイアみたいな青色はちょっと…
実際、青バーミンの本体裏を見ると、モデルナンバーが「RC-04」と、ファイアと同じモデルナンバーになっているようです。なるほど、ファイアの本体を流用してブルーの特注品を作ったということのようです。
もう1つは、黒。これは前作、フラッグマンの取扱説明書の一番最後に書かれたゲーム紹介で、バーミンの本体が「黒色」と紹介されたことにより、黒バーミンが存在するものと認知されたと推測されます。どうやら初期出荷分、ほんの少しだけは黒で製作されたようですが、すぐに白にされたようです。黒バーミンは現物があるかどうかも議論の分かれるところで、あったとしてもごく少数でしょう。
こうしたレア機をお持ちの方は、ぜひ大切にしていただければと思います。私は白バーミンが好きなので、あくまで白にこだわります(しつこいですが)。
☆ このゲームもDSで楽しめる
では白バーミンがレアではないのか、と言えばそれは違います。白バーミンも状態のいいものはあまりありません。白い本体ゆえの黄ばみや劣化が他の機種に比べて目立つのが残念なところです。しかも、それほど出荷台数があった訳ではありませんので、手に入りにくい機種の一つとなっています。
しかし、現在の技術は素晴らしい!本作もDSiウェアでそのまま配信され、当時の興奮がそのまま楽しめます(※注)。実物をお持ちでない方も、DSで熱くなられてはいかがでしょうか。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第2作】 FL-02 フラッグマン
発売日 昭和55(1980)年6月5日
シルバーシリーズ
本体色 ライトオレンジ
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 30,000円
(中程度、本体のみ)
☆ 不遇の名作、フラッグマン
ゲームウオッチ第2弾として発売された、オレンジボディのフラッグマン。前作のやたら手の長い主人公から、ちょっとメタボなシマシマ野郎になりました。帽子をかぶったこのシマシマ野郎、数字を書いた旗を上げ下げするだけでなく、足の裏まで見せて数字をアピールしてきます。そう、このフラッグマンは数字上げゲームです。
数字を上げ下げするゲームとだけ聞けば、それ、楽しいの?と思う方が多いのかもしれませんね。そうなんです、このゲームは全く売れませんでした。説明書の裏ページにある他のゲーム紹介でもフラッグマンは早々消されていたはずです。
そのため、現在ではこのフラッグマン、大変なプレミアがついています。中古品でも三万は下らず、箱・説明書つきだと五万円以上になるレアものです。
☆ ただの数字上げ下げゲームではない
ゲームウオッチは、GAME A=かんたん、GAME B=難しい、というのが定石ですが、このフラッグマンは違います。GAME A=記憶力挑戦ゲーム、GAME B=早押し挑戦ゲームと、2種類の異なるゲームが楽しめます。
また、本作より3ミス制が導入されたため、前作のような1回ミスしただけで即ゲームオーバーなどということはなくなりました。
ゲームの種類も選べて、ゲームバランスも考慮された本作でしたが、陽の目を見なかったのは非常に残念でなりません。
☆ GAME Aはイカサマ可能
GAME Aの記憶力挑戦ゲームですが、シマシマが挙げた数字と同じ数字のボタンを押していくゲームです。1問クリアごとに押す数字が増えていきますので、最高得点の99点まで行くと…99個の数字を順番に押していかなくてはなりません。
しかし、数字は前の問題の数字に1つずつ追加されていくだけですので、実はメモしていけば簡単に最高得点を獲得できます。
例) 1問目 1
2問目 1→3
3問目 1→3→4
私はGAME A、どんなにがんばっても30問が限界です。しかし、ある人はメロディで覚えたらもう少し行けると言ってました。そうなんです、このゲームの4つのボタンは数字だけではなく、それぞれ違う音が鳴るのです。なので、シマシマが挙げる時に鳴る音の順番を覚えておけば、あとはピアノのように4つのボタンを押せばいい…と言うのですが、私には無理です。絶対音感をお持ちの方、いかがですか?
☆ GAME Bは0.216秒の超早押しドン!
GAME Bは早押しゲームですが、これが厄介なぐらい熱いゲームです。左側に表示されたものと同じ数字を早押しで押すのですが、数字を間違えたり制限時間内に押さないとミスとなります。
1問目あたりは1秒以上あった制限タイムが、60問を過ぎた辺りからは0.216秒!かの早押し名人、高橋名人ばりの早押しです。
ミスをすると、ピリリリ言うブザーに合わせてシマシマが手足を挙げて小馬鹿にしてきます(私の偏見です)。落ち着きながらも素早い反応が必要な、とても熱くなれるゲームです。
最高得点の99点に達すると、栄光のファンファーレとともにプレイヤーの栄冠を讃えられます。
☆ 細かな技が心憎い名作
このように大変熱くなれるGAME Bですが、実はボタンを押しっぱなしにすると、その間だけゲームが止まって休憩ができます。落ち着いて最高得点を目指すためには必須の技です。
この他、ゲームオーバーになったらシマシマを自由に操作できたり、ゲームオーバー後、時計表示になるまでに右端の5段のバーが1分ごとに1つ減っていくなど、細かな技が散りばめられている名作なのです。
実物を入手するにはなかなか難しいフラッグマンですが、実はDSiウェアで配信されているため、当時のままプレイできます(※注)。ゲームウオッチでは陽の目を見なかったフラッグマンが、今ではまさかDSでできるなんて。シマシマもさぞかし喜んでることでしょう。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【第1作】 AC-01 ボール
発売日 昭和55(1980)年4月28日
シルバーシリーズ
本体色 ダークレッド
発売価格 5,800円
2012年現在の中古品参考価格 11,000円
(中程度、本体のみ)
☆ GAME&WATCH 登場!
昭和55(1980)年4月、革新的な液晶携帯ゲーム機が登場しました。GAME&WATCHと書いてゲームウオッチ(「ウォッチ」ではありません念のため)と呼ぶそのゲーム機は、それまで喫茶店でインベーダーゲームに夢中になっていたサラリーマンや学生だけでなく、小中学生にまで大ブームとなり、ファミコン登場まで一つの時代を築きました。
ゲームウオッチは当時、任天堂の社員であった横井軍平氏(故人)が、新幹線の中で暇つぶしに電卓をたたいて遊んでいたサラリーマンからヒントを得て開発されたと言われています。そのため、当初のサイズはシャツのポケットに入る定期券サイズ。銀色に輝くボディにシンプルなデザインは非常に美しく、大人が持っていても恥ずかしくないものに仕上がっています。当初はまだ子供たちばかりをターゲットにはしていなかったのです。
☆ 処女作はまさかのお手玉
記念すべき第1作はボール、いわゆるお手玉です。真ん中に配置されているのは、すごく手の長い主人公。肘から先を左右に動かし、飛んでいる2個または3個のボールを落とさないように受け止めるというものです。
至ってシンプルなゲームですが、これが処女作とは思えないすばらしい出来に仕上がっています。
手を動かしてボールを受け止めるという発想もさることながら、動かした手と反対の足もさりげなく上げているところなんか、地味ながら感心させられます。
☆ たった一球落としただけで…
GAME Aでは、2球が飛んでいる状態で、1球受け止めるごとに1点。GAME Bでは少し難しくなり、3球が飛ぶ。その代わり1球受け止めると10点も入ります。まさかのGAME Aの10倍です。
最高得点はGAME Aでは9999点、GAME Bでは9990点。さすがにAでMAXを狙うには途方もない時間がかかってしまいます。Bで狙いたいところですが…
そう簡単に最高得点は獲らせてくれない。実はこのゲーム、1球落としただけで簡単にゲームオーバーになってしまうのです。
3回ミスしてゲームオーバーになるようになったのは、次作フラッグマンから。何度CRUSH!の文字を恨めしく思ったことか。それでも熱中してしまう面白さは、1回でゲームオーバーになるボールならではの緊張感が生み出すものだと思います。
☆ 本当の勝負は2800点から
最初、ゆっくり投げられるボールが徐々に早くなり、Aでは280点から、Bでは2800点から、早すぎて二重に見えるようになります。高い緊張感を保ったまま、残り7000点を獲るのは尋常ではありません。球の落下パターンを把握して、スピードに対応しながらノーミスで操作するのが最高得点への唯一の道でしょう。
☆ ゲームウオッチ第1作の評価は…
このように、大変な緊張感を生み出す処女作のボールですが、ゲームウオッチファンの評価はなかなか厳しいようです。
たった1ミスでのゲームオーバー、単純すぎるゲーム内容、熱くはなるが疲れる…等々。事実、当時にしては大変高価な5,800円という価格もあり、当初はあまり売れなかったようです。
確かに、ゲームバランスという点での評価は少々厳しいかもしれませんが、私は第1作にしてこの興奮は、後の任天堂製品すべてにつながる満足感だと評価しています。
ゲームウオッチ発売から30年を経た平成22(2010)年には、クラブニンテンドーのプラチナ会員向けにこのボールの復刻版がプレゼントされました。デザインはそのままに、消音機能を付けて現代向けにアレンジされたものになっています。
発売数が少なかったこともあり、本作は比較的手に入りづらい一品だったのですが、復刻版は数が多く、割と手に入りやすくなっています。もし復刻版を入手されましたら、ぜひ付属のスタンドに置いて、見て美しく、触って楽しいゲームウオッチの醍醐味を感じていただければと思います。
実物がどうしても手に入らない方も、ニンテンドーDSiウェアで配信されています(※注)。現在のゲーム機で30年以上前に味わった興奮をそのまま楽しめますよ。
※注 ニンテンドーDSiウェアを含むニンテンドーDSiショップは平成29(2017)年3月にサービスを終了しています。
【序章】 ゲームウオッチのご紹介にあたって
はじめまして。sugidownです。
皆さんは、1980年代初頭に任天堂から発売されていた『時計』と『オモチャ』を合体した携帯ゲーム機「GAME&WATCH」(ゲームウオッチ)をご存じでしょうか。
全世界で大ヒットしたことにより、ファミリーコンピュータ(通称ファミコン)の登場前に、任天堂の名前を一躍有名にしたゲーム機です。また、案外知られてはいませんが、現在のゲームコントローラー形状の基礎を築いたゲーム機でもあるのです。その経緯についてはおいおい、こちらの記事でもご紹介したいと思います。
私は、5歳でこのゲーム機を手に入れた時から、そのデザイン性やゲームの面白さの虜となり、現在に至ります。
このブログは、日本で発売されていたこの「ゲームウオッチ」の機種を一つずつご紹介して、皆さんに電子ゲーム草創期の状況をご理解いただこうとするものです。
なので、現代の視点ではあり得ないこともたくさんあります(人がビルから飛び降りて大量死する設定など)。しかし、これはあくまで当時の表現です。原作を忠実にご紹介して、電子ゲーム草創期をご理解いただく趣旨から鑑みて、そのままご紹介することをお許しください。
実は、2012年頃になりますが、このゲームウオッチをご紹介するサイトを立ち上げてみたのですが、思いのほか閲覧数が伸びず、ほぼ放置状態となっておりました。
今回、改めてブログという形で皆さんにご覧いただくことで、このサイトで書いた内容が日の目を見ることになればいいなと思っております。
内容については、基本的には以前のサイトで書いていたことを丸写しにするつもりです。なので、このブログの更新を楽しみにしたい方は、以前のサイトをご覧いただかないようお願いします。
ただ、当時よりもいいカメラを持っておりますので、気が向けば写真を撮り直すこともあります。皆さんにご理解いただくためにも、実際のゲーム機本体をご覧いただけるようにするつもりです。
このブログが、皆さんにとって懐かしい記憶を呼び戻したり、新しい感動を生むものであることを願い、序章といたします。
今後とも、当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。